🦠←謎の物体、現る!

2/2

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
その時、着信音が鳴った。パールのスマホである。 櫻子(さくらこ)は、持たされていたスマホを スピーカーにしてパールの口に、サッと近付けた。 発信してきたのは、紗倉(いつき)だ。 「おー、樹。私も今、キミに連絡しようと思っていた、ところだ」と、お仕事モードになるパール。 「何かあったのか?」 「いや、城の桜がホストにされていたもんだから」 「やはりそうか?たった今、話があると、 (みやび)くんが言ってきて、これから訪ねてくる そうだ」 「分かった、すぐ帰る」 ツーカーな男同士の話は、早い。 「てかホスト?ホストって何?」と、マミは 魅惑の単語に食い付いた。 「樹木界では、寄生する相手の木をホストって呼ぶ のさ。放っておけば、ホストは一本で、数十個の ヤドリギを養う羽目になるんだ」とパールは、 渋い表情を崩さない。 「つまり、ヤドリギが頂き女子ってことやな?」と、 損得には敏感なマミは頷いた。 「ところが女子だけではない、頂き男子もいるはず だ。実を付けるのが女子と思っていい」 「へー、樹木界にもクズ男がいるんや、てか ホストが貢ぐシステムって、なんかおかしいんちゃう」 と、マミは追及したが、それには応えず、 「さぁ、散歩はこれまでだ。早く帰ろう」と、 パールは立ち上がった。 「お客様ですね?(みやび)さんとか? いったい、どなたなんですか?」と尋ねたのは、 櫻子である。 「それな?行けば分かるさ」 と、パールは勿体ぶったが、即ち、それは (みやび)なる人物と会わせてやるよー、という意味でもあった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加