訪問者M・Y

1/2

4人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

訪問者M・Y

紗倉樹(さくら いつき)を訪ねてきたのは、 宿木雅(やどりぎみやび)という若い男だった。 その日は、お手伝いロボットのアレクサ2号が 生憎(あいにく)休みを取っていたので、パールに 指示されて、櫻子とマミは、 お茶をお出しする役になった。 宿木雅(やどりぎ みやび)なる人物と接触する、 最も冴えたやり方であろう、 執事犬パールのIQは、その辺の人間様には 及ばないほど高いはずだ。 パールに言われた通り、アールグレイの紅茶を 丁寧に淹れ、キュウリを挟んだ質素な薄い サンドウィッチをお出しすることになった。 パンに塗られたバターと、挟まれたキュウリは、 意外な味変を果たすのだろうか、因みにプリンと キュウリを同時に食すとメロンの味になるよ、 パールはそう、彼女達に教えた。 メイド用の白いエプロンを着けた櫻子とマミは、 パールに教わった通り、プロトコールマナーに則り、 応接室のドアを3回ノックした。 なんでも(みやび)は、英国育ちの大学院生なので、 本場のアフタヌーンティーに習ったのだ。 ところが、雅は至ってラフな出立ちだった。 アフロヘアーでサングラス、 古着っぽいTシャツとデニムを着用した雅は、 入ってきた可愛いメイド達に、肩でビクッと反応した後、 「ユーラシア大陸のヒレンジャー部隊から報告が来た んだよ、これは由々しき事態だ、(いつき)との契約にも影響を及ぼす、機密事項だ」と、 殊更、固い声を出した。 「やはりな?さっき、うちの執事である、このパール が、契約外のエリアでヤドリギを見つけたばかりさ。 キミのお抱えのヒレンジャー部隊は、毎年、 マナーが良くて安心していたのだが、、、 いったい何があったんだ?」 「まあ簡単に言うと仲間割れだな」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加