訪問者M・Y

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「ヒレンジャー部隊って何?」 メイドの一人が口を挟んだ。 「これこれ、お客様に向かって」と、パールが嗜めた。 「大丈夫だよ、パール。気にしないで」と、(みやび)は、そこでサングラスを外した。 すると、彼の目はほのかにグレーを帯びていて、 北欧系のハーフ顔である。 「雅様の父方の家系はmistletoe (ミスルトゥ)と 仰られ、植物界及び樹木界では一目置かれる、 由緒ある一族なのですよ?マミ嬢」と、パールは 補足を付け足した。 嬢を付けて呼ばれたマミは、嬉しそうに櫻子を見た。 私も嬢と呼ばれたいと思った櫻子は、マミに倣って、 思ったことを口に出すことにした。 「(みやび)様がアフロなのは、ヤドリギに寄せているんですね?なるほどです」 するとマミも再び、口を挟んだ。 「ほんま、なんか惜しい感じするけど、家柄的に 敢えてのアフロってことやな」 雅は、再びサングラスをかけた。 「これこれ、櫻子嬢、マミ嬢、お口を慎みなさい。 これだから最近の若い子はー。 雅様、不躾をどうかお許し下さいませ」。 「まぁいいけど?惜しい、って何だよ? 哀しいかな俺は一生、アフロ推しの宿命を 背負ってるんだ。 頼む、街でアフロを見かけたら、どうか優しくして やってくれ」 アフロとヤドリギの関係性について、そんな深い 意味合いがあったとは、今まで知る由もなかった 櫻子とマミだが、この後もっと深遠な、 樹木界のプリンス紗倉(いつき)と宿木(みやび)の苦悩と葛藤を知ることになる。
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