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「素人から見れば迷惑に見えるヤドリギの、
その行為にも、神の計らいは隠されているよ?」と、
ヤドリギから見れば、ホストを務める側の樹が、助け舟を出した。
「まず、その実は、空飛ぶヒレンジャー部隊の
エネルギー源ともなる。
ヒレンジャー、キレンジャーの姿は可憐で美しいよ、
それに、多くの樹木が葉を落とす今みたいな冬の
時期に、丸々とした形で生い茂るヤドリギは、
その生態の不思議さから、古代より神聖視され、
葉は薬用にも用いられてきたそうだ」
「そうそう、意外に評判悪くないんだよ?
北欧では平和を表すとされ、イギリスでは、キ、」と、
今度は宿木雅が、言葉に詰まった。
さっきから博学ぶりを見せていた樹までもが、「さて、何だったかな?」と、惚けた。
パールが、待ちかねたようにクハッと口を開き、
続きを教えた。
「イギリスでは、ヤドリギの下に立っている女子は、
キスを拒めないという言い伝えがあるのですよ。
そのキスはつまり、結婚を意味します。
お嬢様方、心しておかれるがよろしいかと」。
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