ミッション・ポッシブル

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ミッション・ポッシブル

ヒレンジャー部隊のエリート部員トムと、 キレンジャー部隊のエリート部員ジムは、 任務成績トップの座を賭けて、部隊の 誰もが認める、ライバル同士だ。 日本に渡って来る時は前年まで、トムとジムは 支部に分かれて、仕事を行なうことになっていた。 が、今年は同じエリアで腕を競おうと、 止せばいいのに画策し、お互いには内緒で飛来した のだ。 日頃から、筋トレ及び身体のケアは欠かさない2羽 である。 それもこれも、聖なるヤドリギの繁栄の一環を担う 業務を任された責任感に由来している、真面目な 2羽なのだ。 牽制しながらも各々、順調に任務地付近に近付いた。 頃合いを見て、トムは上空から、レーダーで キャッチしたヤドリギを目掛けて急降下した。 しかし、良いところを見せたいと、急降下し過ぎた せいか、コンタクトレンズが外れてしまった。 矢庭に曇る視界の果てで、それでもクッション性の 高い、身に覚えのある感触に落下し、ひとまず 安堵した。 美味しい実を食し、即座に糞をしなければならぬ、 そんな職務遂行への思いから、ボヤける視界の中で、 ヤドリギを必死に突いた。 何故か、 「イテテテ、テテテ」と、黒いヤドリギは叫び出した。 トムは、構うもんか、実を食べる為さ、 トップの座は誰にも譲れねぇと尚も突いた末、 息切れし、とうとう気絶した。 一方、ジムは今年は絶対負けられねぇと力み過ぎた せいなのか、同じく急降下でG(重力加速度)に負け、ギックリ腰を起こした。 速度の調整が効かなくなって、これまた黒い ヤドリギに激突して、なんとか九死に一生を得た。 黒いヤドリギには、たんこぶが2つ、出来た。
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