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微睡む
砂浜には色取り取りのパラソルが数多に広げられ、海水浴場は人、人、人のエネルギーで満ち溢れている。
浅瀬の海面ではビニールのジンベイザメにアヒルといったフロートがプカプカと浮かび、その横には水中ハンモックに乗るビキニ姿の義妹と、浮き輪から顔だす、その子供達。
太陽に照らされて時折、キラリと水面が輝き、波打ち際では祖父母が小夜子の愛娘と遊んでいる。
そんな中で、浜辺に1人取り残された小夜子はビーチチェアに寝そべって、うつら、うつら、と微睡でいた。
「嫌だよ……早苗ちゃん……」
「大丈夫だって!翠~海水浴場は遠浅だよ。それに、海は塩水だから嫌でも浮かぶから……折角、来たんだから行くよ」
隣のパラソルから、強引に誘う声が聞こえる。
その声に、小夜子の瞼が薄らと開く。
すると、友人に手首を掴まれ、つんのめりながら連行されていく少女のお尻が見えた。
(デジャブ……)
そしてまた、瞼が塞がる。
小夜子は水難事故に遭い、助けられた経験があった……
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