猫で再生数稼ぐぜ

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「そりゃこんなクソまずいもん飲めねえよ、ごめんなテリヤキ!」 『猫はあんまり味覚ないよ』 「はあ!? じゃあなんで嫌がるんだよ!」 『押さえつけられるのが嫌なだけじゃねえの?』  優しく抱っこして全身よーく撫でてから素早く飲ませたら飲んだ。なんだよ扱いが不満だったのかよ。 「……そういや手本見せろって言った奴誰だ」 『本当に飲むなよアホかw お布施やるから許せw』  銭投げもらったから許す。 「なんか俺の足の上で延々フミフミしてる! ストレスか!?」  テリヤキは俺の上に乗るのが好きだ。骨折が治り始めた頃からやたら俺の太ももを揉むようになった。心配になるくらいやめない。 『子猫は飼い主の疲れを察知する能力に長けてる、マッサージだ』 「なにそれ優しい」 『嘘教えんな』 『テヘペロ』 「嘘かよざっけんな!」 『いやお前も騙されんなよw それは子猫が母猫からミルク飲む時の動作な。押すと母乳よく出るから』 「え? 俺の太ももをおっぱいだと思ってんのコイツ。頭大丈夫か」 『ちげえわお前の頭が大丈夫かよw それやると安心するんだよ。要するに、甘えてんだよお前に』 「……。お、おう」  リアクションに困る。こういうとき咄嗟に面白い事言えないから、チャンネル廃れてきたんだけどな俺。 「ゲロ吐いた!」 『猫はゲロ吐くよ念の為病院行け!』 「トイレ覚えねえ!」 『そのうち覚えるからゆっくり待て。お前自分が便所の様子を監視されて苛つかれたらどんな気分よ?』 「ゆっくり待ちますごめんなさい」 「噛む力強くなってきた噛まれると痛ぇ!」 『猫様からのご褒美だ、耐えろ』 『ついにこのチャンネルにもプロの下僕がきたか』 「何それ!?」 『猫を飼うと飼い主が猫の下僕になる現象な。お世話させていただいてる喜びが生きがいとなる』  変態じゃねえか。 『キャットタワー変じゃね?』 「なんだと!? お前らがお勧めしたんだろが!」 『いやそうじゃなくて。上下逆じゃない?』 「え。あ、ほんとだ写真とちげえ」 『子猫用で小さいやつなのに何で間違えられるんだよ』  作り直した。ちゃんと組み立て直すのに一時間かかった。 「悲しいお知らせです。テリヤキさんさっきのが気に入ってたらしく、組み直したら怒りの噛みつきが止まらんいててて!」 『逆さに直したれ。猫様ファーストだ』  プロ下僕さんの厳しいアドバイスに従い、二時間かけて元に戻した。 「あー! また物壊した!」 『猫だし』 「これ買ったばっか!」 『猫様の戯れにケチつけるな()が高い』  ヤベェプロだなこいつ。
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