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(すみません、これ以上は詳しくいえませんっ!)
「君のこの口は何のためについている?」
「と、統理さんを悦ばせるためについています」
「君のこの体は何のために存在している?」
「……統理さんに愛されるために存在しています」
「君の全ては?」
「統理さんのもの、です」
「よし」
そうして少し悪い笑みを浮かべながら統理さんは私をベッドに深く沈める。
私を好き過ぎてそういう行為に及ぶというのを重々承知しているので今では慣れたものになっているけれど、最初の頃は少し怖くて恥ずかしかった。
(私の方こそが好き過ぎてやきもち妬いたりすること、あるのにな)
結婚してからふたりで外出する度にモヤッとした気持ちに襲われることがあった。
15歳上の夫は久遠寺智里としての名前がなくてもモテるのだと行き交う女性たちの視線で知った時、私の方こそがお仕置きしたい気持ちに駆られた。
(でもだからといって統理さんにお仕置きなんて絶対に出来ないのだけれど)
素敵な夫に愛されているのは私なのだという図々しい優越感でなんとかやきもちな気持ちを押し込めている私なのだった。
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