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そう、統理さんの的を得たその言葉が先生という人を表すのに最も適切なものだった。
「付き合うまではいい人だと思っていたんですけどね。典型的な釣った魚には餌をやらないタイプでした」
「……」
「プライドが高くて見栄っ張りで女性は二十歳前後に限るなんていってしまうような厚顔無恥な人でした」
「ははっ、凄い悪口のオンパレードだな」
「だって思い出しちゃったんです、先生が統理さんにいった言葉!」
「……あぁ」
『どうせ顔で選んだ男だろう? 僕の代わりに、僕に当てつけるように結婚した何の才能も持たないただの顔だけ男。そんな男と結婚して君は幸せなのかい?』
あの言葉もきっと私の結婚相手が先生が想像していた以上にいい男で文句がいえなくなった末に出た暴言だと思うから。
「統理さんのこと何にも知らないくせに! というか先生だって憧れていた久遠寺智里だと知ったら絶対驚くのに!」
「そういえばあいつも俺のファンだっていっていたな」
「そうなんですよ! だから余計に悔しくて! ……あぁ、思い出したらどんどん怒りメーターが上がって来たぁ」
「──ふっ」
「!」
突然統理さんが噴き出した。どうしたのだろうと見つめると統理さんは「可笑しいな」といいながら私の髪を一房取って梳いた。
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