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(ふう…。式はこれからだって言うのに、もう暑くてのぼせそう)
片手をヒラヒラさせて顔を扇いでいると、隣でフィルがクスッと笑う。
「どうしたの?クリスティーナ。顔が真っ赤だけど?」
「いえ、別に」
「ラブラブな二人に見せつけられて、うらやましくなったの?」
「ちちち、違います!」
「そんなにムキになって否定しなくても。言ってくれればいつだって俺も君にキスするのに」
「けっこうです!」
背を向けて歩き出そうとすると、不意にフィルが腕を伸ばし、クリスティーナを後ろから抱きしめた。
「今日のドレス姿、すごく綺麗だ。俺も世界で一番君を愛しているよ。ティーナ」
耳元でささやかれる声に、クリスティーナは思わず息を呑む。
結婚してから、フィルは甘い言葉をささやく時は、決まって優しく「ティーナ」と呼び、その度にクリスティーナの心はキュンと締めつけられていた。
今も、まるでスイッチが入ったように胸を切なくさせていると、後ろから首筋にチュッと口づけられ、クリスティーナは耳まで真っ赤になる。
「可愛いな。続きは夜にね、ティーナ」
もはや言葉を失い、ウルウルと涙目になるクリスティーナを見て、フィルはまたクスッと笑った。
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