命に代えても

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「国王陛下、おめでとうございます!」 大通りを埋め尽くす国民に、国王と王妃がオープン型の馬車から笑顔で手を振る。 豪華な馬車を近衛隊が取り囲み、ゆっくりと歓声の中を進んでいく。 そのあとにフィルとクリスティーナの乗った馬車が見えると、国民はより一層の歓声を上げた。 「フィリックス様、クリスティーナ様!」 「きゃー!なんてお美しい」 「あ、今私と目が合ったわ!」 「違うわよ。私を見て笑ってくださったのよ」 押すな押すなと沿道の人達は、少しでも二人の姿を見たいと身を乗り出す。 フィルもクリスティーナも、笑顔で一人一人に手を振っていた。 ため息と共に二人の馬車を見送った人達は、次に見えてきた馬車に更に黄色い歓声を上げる。 「ひゃー!お子様達よ。なんて可愛らしいのかしら」 「アレックス様はもう6才なのよね。すっかり凛々しくなられて」 「フローリア様はお手振りも品があってお上手ね」 「マックス様、とってもキュート!」 皆はワイワイと盛り上がり、目からハートマークが出そうなほど子ども達にメロメロになっていた。
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