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「ありがとう、フィル。でもダメよ」
え?と、フィルがクリスティーナを見つめる。
「私達を守ってくれるのは嬉しいけれど、命に代えてはダメ。あなたがいてくれないと、私達は幸せにはなれないわ。あなたは私の、世界でたった一人のかけがえのない人。そして子ども達にとっても、世界でたった一人の大切な父親なのよ」
「クリスティーナ…」
だからね!とクリスティーナは笑顔になる。
「私がそばであなたを守るわ。あなたが危険な目に遭っても、私が助ける。子ども達の大事なお父様だものね」
フィルは一瞬目を丸くしたあと、参ったとばかりにふっと笑みをこぼした。
「君には本当に敵わない。頼もしい最強のパートナーだ。そして俺の最愛の人。クリスティーナ、俺は君を心から愛している」
「私もよ。あなたのことを、いつもどんな時も愛しています」
フィルは優しく微笑むと、クリスティーナの肩を抱き寄せてキスをする。
「約束する。この先もずっと君と子ども達を守っていくと」
「ええ、私も」
「…ティーナ」
フィルはそっとクリスティーナを抱きしめて、耳元でささやいた。
「ねえ、ティーナ。もう一人子どもが欲しくない?フローリアに妹を作ってあげたいな」
ええ?!とクリスティーナは驚く。
「いいだろ?ティーナ」
「そ、そんなこと聞かれても…」
「ふーん。ま、いいや。その気がなくてもできる気がするから。毎日君を愛しているうちにね」
いたずらっ子のような目でそういうフィルに、クリスティーナは真っ赤になって言葉を失う。
「あはは!いくつになっても可愛いね、ティーナ」
「ちょっと、フィル!からかわないでよ」
「からかってないよ。愛してるだけ」
「もう、フィル!」
ふくれっ面のクリスティーナに笑っていたフィルは、やがて真剣な眼差しでクリスティーナを見つめた。
「君に出逢えて良かった。俺にとっても、この国にとっても」
「フィル…。あなたの方こそ。この国の王太子があなたで良かった。太陽の王に守られるこの国は、きっといつまでも平和でいられるわ」
「それなら君は月の王妃になるんだね。太陽が沈んでも、月がみんなを照らして守る」
そう言ってフィルは、綺麗な月を見上げた。
「俺達二人で、いつまでも守っていこう。子ども達を、そしてこの国の人達を。それが世界中の人々の幸せに繋がると信じて」
「ええ、そうね」
二人は笑顔で微笑み合うと、肩を寄せ合って夜空を見上げた。
世界を彩るようにキラキラと輝く星。
この先の未来も、この星のように輝かしいに違いない。
フィルとクリスティーナは、互いの温もりを感じながら、いつまでも幸せな気持ちで夜空を見上げていた。
Fin.
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