太陽の王と月の王妃

2/2
前へ
/60ページ
次へ
「ありがとう、フィル。でもダメよ」 え?と、フィルがクリスティーナを見つめる。 「私達を守ってくれるのは嬉しいけれど、命に代えてはダメ。あなたがいてくれないと、私達は幸せにはなれないわ。あなたは私の、世界でたった一人のかけがえのない人。そして子ども達にとっても、世界でたった一人の大切な父親なのよ」 「クリスティーナ…」 だからね!とクリスティーナは笑顔になる。 「私がそばであなたを守るわ。あなたが危険な目に遭っても、私が助ける。子ども達の大事なお父様だものね」 フィルは一瞬目を丸くしたあと、参ったとばかりにふっと笑みをこぼした。 「君には本当に敵わない。頼もしい最強のパートナーだ。そして俺の最愛の人。クリスティーナ、俺は君を心から愛している」 「私もよ。あなたのことを、いつもどんな時も愛しています」 フィルは優しく微笑むと、クリスティーナの肩を抱き寄せてキスをする。 「約束する。この先もずっと君と子ども達を守っていくと」 「ええ、私も」 「…ティーナ」 フィルはそっとクリスティーナを抱きしめて、耳元でささやいた。 「ねえ、ティーナ。もう一人子どもが欲しくない?フローリアに妹を作ってあげたいな」 ええ?!とクリスティーナは驚く。 「いいだろ?ティーナ」 「そ、そんなこと聞かれても…」 「ふーん。ま、いいや。その気がなくてもできる気がするから。毎日君を愛しているうちにね」 いたずらっ子のような目でそういうフィルに、クリスティーナは真っ赤になって言葉を失う。 「あはは!いくつになっても可愛いね、ティーナ」 「ちょっと、フィル!からかわないでよ」 「からかってないよ。愛してるだけ」 「もう、フィル!」 ふくれっ面のクリスティーナに笑っていたフィルは、やがて真剣な眼差しでクリスティーナを見つめた。 「君に出逢えて良かった。俺にとっても、この国にとっても」 「フィル…。あなたの方こそ。この国の王太子があなたで良かった。太陽の王に守られるこの国は、きっといつまでも平和でいられるわ」 「それなら君は月の王妃になるんだね。太陽が沈んでも、月がみんなを照らして守る」 そう言ってフィルは、綺麗な月を見上げた。 「俺達二人で、いつまでも守っていこう。子ども達を、そしてこの国の人達を。それが世界中の人々の幸せに繋がると信じて」 「ええ、そうね」 二人は笑顔で微笑み合うと、肩を寄せ合って夜空を見上げた。 世界を彩るようにキラキラと輝く星。 この先の未来も、この星のように輝かしいに違いない。 フィルとクリスティーナは、互いの温もりを感じながら、いつまでも幸せな気持ちで夜空を見上げていた。 Fin.
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加