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「自分で考えろ、ね。」
宝条は呟きながら、車を駐車場に停めた。
「行くぞ。」
「うん。」
俺は車から降りると、宝条の三歩後ろをついて行った。
すると、宝条は立ち止まり振り向いた。
「どうして離れてる?」
「いや...なんとなく?」
「理由がないなら、俺の隣を歩け。」
宝条の言葉に俺は一瞬、躊躇った。
今の俺は、彼の隣を歩ける人間じゃない。
さっき、気にしないと決めたばかりなのに、余計なプライドが邪魔をする。
「ほら、行くぞ。」
「おいって/」
俺がその場から動けずにいると、宝条は俺の手を握った。
「藤堂はそのままでいい。」
「何言ってるんだよ/」
「堂々としてろってことだ。」
「……なんだよ、それ//」
「ははっ、あとは自分で考えろ。」
こいつ、さっきの仕返しのつもりか?
喰えない奴め。
そう思いながら、俺の頬は熱くなっていた。
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