32人が本棚に入れています
本棚に追加
「あはははっ、さすがだよ。藤堂。お前はそうでなくちゃ。期待を裏切らないでくれてありがとう。」
「調子に乗るな。俺は帰る。」
「もうそんな時間か。今日はお開きにしよう。」
宝条の一言で、社員たちは足早に店を出ていった。
酔っ払い男も同僚に連れられて帰っていった。
気がつけば、その場に俺と宝条しか残っていなかった。
「帰るのか?」
「ああ。」
「どこに?」
宝条は俺に問いかけた。
「どこだっていいだろ。」
「女か?それとも男?」
「だとしても、宝条にいう理由はない。」
実の所、今、俺は友達の家に居候している。
買収が決まった時、住んでいた家を売り払い、両親は父親の実家に引っ越した。
俺も着いていくことになっていたのだが、宝条が俺を雇うと言い出した。
そして、今に至る。
最初のコメントを投稿しよう!