一線を越える夜

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「ったく、無防備な奴。」 「宝条?」 「起きたか?家に送ろうと思ったら、家がないって言うから仕方なく俺の家に連れてきた。」 「だって、ないもん。」 俺はぼぉーとする頭で答えた。 「え、どういうことだ?」 「友達の家に居候してる。実家は父親が引き払ったから。」 「そうだったのか。」 「どうした?」 俺は宝条を見つめた。 酒のお陰で、彼に笑顔を向けられる。 「藤堂って、そんな顔するんだな。」 「どんな?」 「可愛い顔。」 宝条は俺の頬に手を添えると、そっと唇にキスをした。 「藤堂さ、俺以外の前で酒飲むなよ。」 「うーん。どうしよっかな。」 「こんなに可愛いとすぐに喰われる。」 「それなら、宝条は俺のことたべたいの?」 「そうだな。味見くらいしようかな。」 そういうと、宝条は俺をベッドに押し倒した。 彼の温もりを感じられる日がくるなんて夢のようだ。 俺は宝条の背中に腕を回した。 「頼むから煽るな。朝起きたら覚えてないくせに。」 「だって、これは夢でしょ。」 「そうかもな。」 宝条は俺に優しく微笑んだ。
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