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その間もピノの鼻は伸び続けていた。焼却炉から伸びて、天高く――まるで奈落の底から助けを乞うて腕を伸ばしているように見えた。だがやがて、灰になった鼻が根元から折れ、伸びた分の木の棒だけが地面に転がった。それ以降は伸びることも縮むこともなかった。地面に転がる木の枝となにも変わらない。彼の鼻は、自然へと帰したのだろう。
リロイの遺体はラッツオが処理をすることになった。処理、というのが何を指すのか、ドリーたちには分からなかったが、眼前で起こった出来事に対して、脳の処理が追いついておらず、ドリーはラッツオの言うことにただ頷いていた。
ようやくドリーの頭が回りだしたのは、昼休みの終わりを告げるチャイムの一分前にある予鈴が鳴ってからだ。ふと、ドリーがこんなことを呟いた。
「本当にピノがリロイを殺したのだろうか?」
隣にいた生徒は「え?」と声を漏らし、ドリーの顔を見やった。ドリーは煙の上がる焼却炉を見つめながら話を続けた。
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