新約ピノッキオ

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「本当に、ピノの鼻が伸びるのは嘘をついた時なのだろうか? だとしたら、死にたくないという言葉を吐きながら鼻が伸びるのには違和感がないか? 死にたくない、殺したのは自分じゃない、という言葉に反応して鼻が伸びていたのではないとしたら……」  ドリーは息を呑んだ。自分の予想するところが、一連の事件の真実なのではないかという確信が彼の中にはあった。  本鈴が鳴り響く。ドリーは気にも止めずに、滔々と話しだした。 「――ピノの鼻は、彼が何かを恐れているときに伸びるのではないか?  だとしたら色々と辻褄があう。リロイにいじめを受けて恐れているときに伸びた。自分が犯人だと嘘をつくラッツオを恐れているときに伸びた。自分の死を恐れているときに伸びた。  なあ、こうは考えられないか? 元々リロイのいじめの標的はラッツオだった。ラッツオは虐めに耐えかねて、身代わりとしてピノを作った。鼻を伸びるようにしたのは、嘘をつくと伸びる、という嘘を吹聴してリロイの反感を買う為だ。
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