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ドリーは彼の言葉を聞いて少し考えこんだ。確かに現時点で証拠という証拠はない。それはリロイの遺体が検死されれば分かることだ。リロイの首元には絞殺の痕跡があったので、警察は簡単に犯人を特定できるだろう。――なのに何故ラッツオは犯行に及んだんだ?
ドリーが頭を抱えていると、生徒は彼に教室に戻るように促した。
既に本鈴がなり、授業が始まっている頃合いだ。早く戻らなければ成績に響くだろう。
そう言った後に、生徒は付け加えた。
「それにラッツオが殺しをするなんてのは考えられないよ。彼は優しい性格だからね」
ドリーは、彼の鼻が僅かに伸びたのを見逃さなかった。
そのあと、すぐにドリーは生徒と共に教室に戻ることにした。ドリーは教室の扉を開けて、ラッツオの所在を確認した。ラッツオはいつも通り、自身の席についていて、二人が戻ってきても特に目を合わせたりはしなかった。
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