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ピノは首を振って「僕じゃない」というが、その度に鼻は伸びていた。
「これが証拠になってんじゃねえかよ」と、リロイは伸びた鼻を鷲掴みにする。
そのまま、へし折ってしまいそうな勢いだった。
「やめてよ。本当に蹴ったりしたつもりはないんだ」
ピノは怯えているように見えたが、しっかりと鼻は伸びていた。一連のやり取りは教室内で行われていたが、誰もリロイを止めようとはしなかった。内心で、「蹴ったピノが悪い」とリロイを正当化していたが、実際には暴力的な彼を恐れている者が大半である。
リロイは思いっきりピノの頬をぶった。次の授業を担当する先生がくるまでにはまだ十分ほど時間がある。「ごめん、悪かった。もうしないよ」というピノの鼻が伸びた。
彼の生みの親であるラッツオすらも、ことの成り行きをただ傍観していたが、リロイが何度ピノに暴力を振るっても、一度燃えた彼の炎が鎮火することはなく、遂にその火の粉がラッツオにまで燃え移った。
「そもそも、てめぇがちゃんと教育してねぇからこうなるんだろうが」
リロイはラッツオの机を蹴り飛ばした。近くにいた数人の生徒が悲鳴を上げる。
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