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ラッツオは黙っていた。不自然に静まり返った教室の中で、時計の長針が振れる音と同時に、予鈴が鳴った。リロイが舌打ちをする。教室の扉が開き、何人かの生徒が帰ってきたのを皮切りに、教室にいた生徒たちはリロイの顔を伺いながら、おずおずと散らかった教室を片づけだした。
授業を担当する先生が来る頃には、教室は完全に元通りとなっており、教室内にいつも通りの時間が流れ始めていた。その時間はいつも通りに不自然で、嘘つきで、何事もないかのような表情をしていた。
事件が起きたのは、それから一週間後の昼休みだ。ドリーと、一緒にいた一人の生徒が第一発見者だ。場所は体育館横にある狭い裏庭。普段あまり使われいていない用具入れと、今の時代には珍しい大きな焼却炉があった。その前でラッツオとピノが立っていたのだ。――二人の隣には、リロイが泡を吹いて倒れていた。
よく見ると、リロイの首元に赤い痕がついていることから、ドリーは絞殺であると推察した。もっとも、目視しただけでは、彼がまだ生きているのかまでは判断がつかなかった。
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