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次の日の朝、ドテナの住む家のドアの前に木の実や野菜、パンや花などが籠に入れられて置いてあった。
ドテナは怒り、籠を蹴っ飛ばして、中の物を何度も踏み付ける。
こんなことが息子を殺した償いになるわけがないと、とにかく腹が立っていた。
ドロリとした憎しみが、心の傷口から溢れ出す。
それをぶつけるように、執拗に土だらけになった物を踏みにじった。
次の日も、そのまた次の日も、ドテナの家の前には食料や花を入れた籠がおいてあった。
たとえそれら全てが家の前で踏み荒らされていても、だ。
それが10日経った頃、ドテナは武器を作ることに決める。
魔族を滅ぼすための剣を。
ドテナは魔族について知識があった。
それらを総動員して構想を練る。
構想が固まると、製作を開始した。
製作は困難で何度も失敗したし、時間もかかった。
そして製作を開始して何十年もたった頃、ドテナは何とか1本の剣を作ることに成功する。
だが、その剣には致命的な弱点があった。条件に適合するわずかな者にしか使用できないのだ。
その条件に製作者であるドテナも当てはまらない。
それでも自己最高傑作である「魔族を殺せる剣」ができたことに、ドテナは暗い笑みを浮かべるのだった。
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