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「祖父ちゃんと祖母ちゃんが居る家を出てたから、此処に住んでいる」 「なんで家を出た?」 「愚問だな。 俺は、祖父ちゃんと祖母ちゃんが決めた人生を歩く為に産まれたんじゃない。 俺だって、もう20だ。 自分が選んだ人生を歩く。 もう決めたんだ」 『そうか』と呟いた父さんは、フローリングの床に座り、ボンヤリとカーテンがない窓を見たから聞きたくなった。 「なんで、母さんと別れたんだ?」 亡くなった母さんにはもう聞けない。 母さんが死ぬまで父さんを想い続けていた事は、ビデオレターと手紙から知った。 それでも、父さんの口から聞きたいと思った。
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