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「焼香しても宜しいですか?」 俺の問いかけに『どうぞ』と答えたのは莉子の母親。 リビングにある仏壇。 飾られているのは、あの頃と変わらない莉子の笑顔の写真。 正座をしてから焼香し手を合わせる。 「中村君、健太を宜しく頼む」 莉子の父親の言葉が聞こえ、向きを変えた俺。 「分かっているんだ。 健太が、中村君を慕う気持ちを。 莉子が残した手紙もビデオレターも読んで観たからね。 莉子が亡くなってから、健太は、私達の生きる意味だった。 それが健太を苦しめていた事も分かっているんだ」
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