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『玲』と烏に呼ばれた事で、足を前に進める。
先に歩く烏の後ろを歩くのは、やはり心地良い。
階段を上がり、お墓が並ぶ敷地内を歩く。
お墓に白い薔薇の花束は似合わないのは、私でも分かる。
それでも、白い薔薇の花束と決めたのは、大和が言っていたから。
『健太の母親は、白い薔薇が似合う女だった』と。
1つのお墓の前で足を止めた烏が言った。
「此処だ」
笹木莉子。
健太の母親。
19歳でこの世を去った人。
白い薔薇の花束をお墓の前に置き、しゃがみ込んで手を合わせた。
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