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一旦、烏の巣に戻り、制服から私服に着替えた。 「ひょう、出かけるの?」 「ひょうにぃにぃ、どこにいくんだ」 俺の姿を見つけ、問いかけてきたのは、羽生と杏珠。 「見回りに行くだけだ」 羽生と杏珠の頭を撫でから、エレベーターを使い、1階に下りると視界に入ってきたのは、ロビーの隅に短冊が結ばれている笹。 そう言えば昨日は七夕だったな。 ふと短冊をいくつか見ていく。 〈あんちゃん、そらをとびたいの〉 〈あんちゃんとねぇねぇはなかよし〉 〈あんちゃんはあまのがわをあるきたいの〉 〈かいだんの本〉 杏珠が書いた幾つかの短冊の中にあったのは、羽生が書いた短冊を見つけ、帰って来たら、怪談の本を羽生に渡してやろうと思った。
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