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「本当に? ――ああ、でもこの血彩はアンと同じだし、あなたはだいぶ歳をとって見える」
言われて、ディヴィアンは自分の容貌が急に恥ずかしくなった。
「そ、そんなに老けたか」
うろたえて身を引くと、手を引っ張られた。
「嘘みたいだ。けど、アンだね。その声は間違いなくアンだ。すごいよ、どうやってここに?」
「星人の技術を使って、時間を遡ったのだ」
「せいじん?」
ディヴィアンは手に持っていた不思議な球体を見せて、ラケオに説明した。千年の間に、世界がどのように変わったのかを手短に。
「じゃああなたはそんなにも長い時間を生き抜いたんだ」
「お前との約束だったから」
「……そうなの」
ラケオが納得するようにうなずく。
「遠い未来から、時を越えて会いにきてくれたんだね……信じられない」
ラケオはディヴィアンの髪に口づけを落とした。それから大きな手で頬をくるんで、唇にもキスをした。ディヴィアンは嬉しくて照れくさくて、天にも昇る気持ちで顔を赤らめた。
長い長い不在の時間はあっという間に消え去り、ふたりだけの幸せなときが戻ってくる。ディヴィアンは愛しい相手に抱きついてその感触を確かめた。
ラケオ。ラケオ。ただひとりの自分の恋人。人生に一度だけの相手。
いつかの再会の約束は果たされた。彼の言ったとおりだった。嘘はなかった。
その夜、ディヴィアンは千年ぶりにラケオと一緒に寝床に入った。狭い木製のベッドに身をよせて、昔と同じように語りあい、ディヴィアンは自分が見てきた世界中のものを伝えた。
「じゃあ、空を飛ぶ船や、黄金や機械でできた街は、未来では本当に存在しているんだね」
「ああ」
「すごいよ、そんなに遠くまで旅をしたなんて」
「そうだ。語り尽くすには永遠の時間が必要なくらい。……だから、またここに来てもいいか」
そっとたずねると、ラケオが笑った。
「うん。いつでもきて。旅の話を聞かせて」
「若い私がいないときにな。会いたくないから」
同じ自分だが、ライバル心を持ってしまう。
「あなたに会ったことを、もうひとりのアンに話してもいい? 話したら未来に不都合が起こるかな」
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