第51話 魔王と魔物と人間と

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 そこまで言って、ただ自分が騙されやすいだけなのではと不安になってくる。  それでもヴィルジールを頭ごなしに疑うことが、どうしてもアメリにはできなかった。 「やっぱりアメリは本質を見る目に長けてるね」 「だけどヴィルジールさんの言ってること、難しくてわたしには良く分からないです」 「頭では理解できなくても、心ではちゃんと分かってるはずだよ?」 「でも……」 「とにかくアメリはすごいってことさ。アメリはさ、もっともっと! 自分の力に自信を持つといいよ!」  声高に叫ぶと、ヴィルジールは黒マントごと両腕を大袈裟に広げてみせた。  そして鏡のある壁を振り返る。 「そろそろ近づいてきたみたい。ちょっと様子を見てみようか」 「様子?」  つられてアメリもそちらを見上げると、部屋を映していた鏡に鬱蒼と生い茂る木々が浮かび上がってきた。 「ロラン……!」  ハッとして、ドレスを引きずり駆け寄った。  そこに映し出されていたのは、夜明けの森で、魔物の群れと死闘を繰り広げているロランたちの姿だった。
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