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第42話 もう逃がさない
次ロランと会ったときに、何を話せばいいのだろうか。
そんなことを漠然と考えてはいた。
しかしいきなりそのときが来てしまい、アメリの頭の中は完全に真っ白だ。
「どうして逃げた?」
「それは……ロランが追いかけてくるから……」
あの勢いは尋常じゃなかった。とっさに逃げたくなっても仕方ないと言うものだろう。
だがよくよく見ると、ロランは以前と変わらない勇者の旅装束姿をしていた。
髪が伸びて無精ひげを生やしているが、浮浪者と見間違えたのは少々失礼だったかもしれない。
それにロランはアメリが討伐の旅から逃げ出したことを言っているのではないか。
ならばひとまず謝るべきはアメリの方だ。あの日、ロランの前から何も言わずに立ち去ったことは確かなのだから。
「あの、ロラ……」
「何人だ」
言いかけて、耳元に唇を寄せられた。
チクチクする無精ひげから無意識に逃げようとしたアメリの腰を、ロランがぐっと引き寄せる。
塀に追い詰められたまま、さらにロランが低い声音で問いかけてきた。
「何人の男に触らせたんだ?」
「お、おとこ……?」
質問の意味がよく分からない。
が、ロランが怒っているらしいことはアメリにも十分伝わって来た。
「ロラン、一体何を言って……」
「とぼけるな」
「ひゃっ、ロラっ、な、なにをっ」
耳たぶを食む勢いのロランが、いきなりアメリの胸を揉みしだき始めた。
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