第4話 勇者と乙女

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「勇者だからこそアメリじゃないとダメなんだってば。聖剣の乙女に選ばれたのはアメリ、君なんだから」 「とにかく! 今はまだ必要のないことです。ヴィルジールは今すぐ部屋から出て行きなさい!」 「えー」  不満そうなヴィルジールに向けてサラが呪文を唱え始める。 「そ、それは、黒魔法……なんで神官のサラが」 「神官になるためのカリキュラムで、黒魔法をひとつだけ覚えされられるんですよ。嫌々習得しましたけど、それがこんな時に役に立つなんて」 「嫌々っていう割に、なんで最強にして禁断の攻撃黒魔法なのさ!?」 「どうせ覚えるなら最高難易度に挑戦したまでです!」 「サラってば真面目すぎぃっ」  言っている間に、サラの手の内でみるみる闇色の球体が膨れ上がっていく。 「わ、ちょっとタンマ!」 「死にたくなかったら出て行って!」  魔法が発動する直前に、ヴィルジールはぱっと姿を消した。  手に集まった黒い光を収束させると、サラは大きく息をつく。 「あのサラさん、ヴィルジールさんが言ってたことって……」 「いずれ分かると思うから……今夜はゆっくり休みましょう」  誤魔化すようなその言葉に、アメリの中で不安だけがくすぶった。
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