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呆然と残された部屋の中、ロランのうめき声が小さく漏れた。
「勇者……?」
恐る恐る覗き込むと、ロランは苦しげに目を閉じていた。
額に浮かぶ玉のような汗にその辛さが伺える。
ヴィルジールの言うことなど、まるで意味が分からなかった。
何しろアメリに男性経験はない。恋人すらできたことはなくて、何をどうしたらいいのかさっぱりだ。
とりあえず看病といえばと思い、枕元にあった布で汗を拭ってみた。
「熱い……」
その熱さに驚いて、自分の冷えた手をおでこに添える。
アメリの掌が気持ちよかったのか、ロランの表情がいく分か和らいだ。
端正な顔を覗きこむ。そんな場合ではないというのに、アメリは思わずロランに見惚れてしまった。
「ほりが深くて鼻筋も通ってて……まつ毛もすごい長い……」
勇者でなくとも女たちが群がるのがよく分かる。
恋をしたことがないアメリでも、見ているだけでドキドキしてきてしまった。
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