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身じろいだロランに驚いて、乗せた手を思わず離す。それを制するように、ロランの大きな手がつかみ取ってきた。
握ったままのアメリの掌を自分の頬に当て、ロランはひとつ息をついた。続けてすぅと穏やかな寝息が聞こえてくる。
「ちょっと楽になったみたい……?」
冷たい手で楽になったのだろうか。ベッドのふちに腰掛け、アメリは両手でロランの頬を包み込んだ。
しばらくそのままでいたが、ロランはずっと眠ったままだ。
苦しそうだった表情が和らいでいるように思えても、体はまだまだ熱かった。
傷が癒える様子もなくて、これ以上何をすればいいのかとアメリは途方に暮れてしまった。
「やっぱりサラさんを呼んでこよう」
このまま自分がこうしていても、ロランが回復するようには思えない。
頬から手を離して立ちあがろうとした瞬間、手首をつかまれアメリは強く引き寄せられた。
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