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ぱっと甘えた声になって、ベリンダは男にしなだれかかる。
「わたしもいい男を見つけたの。この村には二度と戻らないわ。どこかで見かけてももうアメリとは赤の他人よ」
つんと顔を逸らしたあと、ベリンダはこそっとアメリに耳打ちしてきた。
「義父さんと違って超大金持ちなの。精神的にも余裕があるし? デボラ母さんも一緒にこれから面白おかしくやっていくわ」
それだけ言い残すと、ベリンダは男とともにあっさり行ってしまった。
すでに次の金ずるを見つけていたとは、なんともベリンダらしい。
いつでも嵐のように激しい義姉だったと、そんなこと思いながらアメリはその背を見送った。
再びひとりになったアメリは冷静に考えを巡らせる。
結局ロランがアメリを探す目的は分からず仕舞いだ。
今さら自分が会いに行ったところで、みんなに罵られるだけかもしれない。
「でも行くしかないわよね……」
ロランがアメリを探している以上、ロランはアメリを欲しているのだ。それがどんな理由であれ、アメリはそれをおとなしく受け入れる覚悟を決めた。
このままロランとの関係を終わらせてしまってはならない。それこそ父親のときのように。
その思いがアメリを強く突き動かした。
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