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アメリの家に泊った翌日、ベリンダは勝ち誇ったようにロランのシャツを手にしていた。
聖剣が折れロランが怪我を負ってしまったショックで、ずっぽりと記憶から抜け落ちてしまっていたが、思えばすべての発端はソレだった。
あの一夜はロランが怪我をする以前の出来事だ。乙女の癒しうんぬんの話は全く関係ない。
「ベリンダ……?」
それなのにロランの眉間にしわが寄った。誰の名だ、と言ったふうに首をひねっている。
一度寝た女などすぐに忘れてしまうのだろうか。そう言えばマーサが言っていた。昔ロランは相当遊んでいたと。
「あ、ああ、ベリンダだな。その彼女がどうしたと言うんだ?」
ようやく思い出したのか、ロランが白々しく聞き返してきた。
さすがのアメリもふつふつと怒りが沸いて来る。
「とぼけてもわたし知ってるんです。わたしの家に泊った日、ロランはベリンダの部屋に行きましたよね?」
「部屋に……? ああ、確かに酔った彼女を部屋まで連れていったな」
「そのままふたりで一晩過ごしたんでしょう?」
「そんな覚えはないが……」
「嘘言わないでください! ベリンダ言ってました。ロランの持久力がすごかったとか、ほかの男の人と全然レベルが違ってたって!」
涙目で睨み上げると、ロランはぽかんという顔をした。
「いや、それは……もしかしたら居間で君を待っている間、俺がずっと腹筋や腕立て伏せをしてたからじゃないのか……?」
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