第50話 魔王城

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 それでこんな格好なのか。  ドレスに視線を落としていると、ヴィルジールがくすりと小さく笑いを漏らした。 「ソレね、ロランが好きそうなヤツ選んどいたから」 「え?」 「ほら、ロランってば王城で聖剣の乙女の衣装、めちゃくちゃ嫌がってたじゃない?」 「はぁ」 「ロランはね、ホントはそういう清楚系が好きなんだ。大丈夫、間違いないよ。旅も長かったし、ロランの嗜好は把握済みさ」  自信ありげに言われるも、力説ポイントがずれている気がする。  未だに信じたくない気持ちを抱え、アメリはおずおずと問いかけた。 「本当にヴィルジールさんが魔王なんですね?」 「そうだよ。これ見ても信じられない?」  ヴィルジールの爪がみょーんと伸びる。  尖った爪をカチカチ鳴らされて、青ざめたアメリは益々カーテンにしがみついた。 「信じます、信じます! だから今すぐソレしまってくださいっ」 「そう言ってもらえると助かるよ〜。爪が長いとあちこち引っかかっちゃって面倒なんだ」  シュンと爪をしまうと、ヴィルジールがニッコリと手招きをしてくる。 「そんな端っこにいないで、もうちょっとこっち来なよ。聞きたいこといっぱいあるでしょ?」
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