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見た目は近寄りがたい魔王様だが、中身はまんまヴィルジールだ。
少しだけ警戒を解いて、アメリはベッドの上を慎重に這って移動した。かさばるドレスがなんとも動きにくくてしょうがない。
「あ、その服、重い? だったらこっちにしようか」
「ひえっ」
ヴィルジールのひと声で、アメリのドレスがひゅっと一瞬で様変わりした。
今度はスリット深めの真っ黒いイブニングドレスだ。
「ななな何を……」
「あれ? 不満? もしかして裸にして着替えさせたと思ってた?」
「そ、そうじゃなくて、さっきの方がよかったカナ? とか思って……」
部屋の中はどこもかしこも真っ黒だ。
そんな環境で服まで黒いとなると、どうにも気分が滅入ってきてしまう。
「そう? こっちの方が僕の好みなんだけど。ま、アメリはロランの乙女だからね」
気づくと服が純白のドレスに戻っていた。ほっとしてひだの多いスカートを整え、アメリはなんとか座りよく落ち着いた。
それにしても近くで見るヴィルジールは美形すぎて迫力満点だ。
無意識にアメリは近くにあったクッションを胸に強く抱きしめた。
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