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「いやぁ、この短期間でみんな随分と腕を上げたみたい。ロランの剣さばきは益々キレッキレだし、フランツとマーサのフォローも冴え渡ってるね。サラなんかは森の精霊を味方につけて無尽蔵に魔力を補給してるし、さすがは国一番の神官だけのことはあるって感じ」
うんうんと頷いたあと、しかしヴィルジールは少し困ったように首を傾けた。
「うーん、でもちょっと魔物が減りすぎちゃってるかな? あれだけの数を送りつけたのに、このままじゃここに辿り着く前に殲滅つくされちゃいそう」
「え?」
「てなわけで、追加でわんさか送っとくから! さ、みんな頑張って〜」
ヴィルジールが両腕を広げると、鏡の向こうで魔物の数が膨れ上がった。
突然の猛攻撃に、一気に形成が逆転してしまう。
「なっ、やめてください、ヴィルジールさん!」
「ん? どうしてさ?」
「だってこんな酷いこと……!」
これまで苦楽を共にしてきた仲間が危機に瀕しているのだ。
きょとんとしているヴィルジールが魔王だということも忘れ、アメリは掴みかかる勢いでヴィルジールににじり寄った。
「酷いも何も、魔物の殺気が一定時間途絶えたらロランの聖剣はアメリの元に戻ってきちゃうんだよ? あの森のど真ん中でそんなことになったら、いかにロランたちでもあっという間に全滅すると思うケド」
「そんな……」
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