第9話 気まずくて

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 アメリの気持ちを察したのか、サラが壁になってヴィルジールを遠ざけてくれた。 「ヴィルジールに何を言われたんですか?」 「いえ、大したことじゃありません」  これ以上は突っ込まれたくない。  話を逸らそうと、アメリは違う話題をサラに振った。 「この街道は魔物がまったくいないんですね。いつもならそろそろ襲われてそうなのに」 「今王都に引き返してますからね。城下町も近いですから、魔物が少ないのはそのせいです」 「え? どうして引き返してるんですか?」  勇者一行は遥か遠くの魔王城を目指していた。  魔物を倒しつつ地道に進んで来たはずなのに、逆戻りするなどまったく意味が分からない。 「王様がアメリに会いたいんだってさ」  ヴィルジールが再び割り込んでくる。  嫌な顔をするのも忘れ、アメリはぽかんと問い返した。 「は? 王様が? わたしに? は? ナゼ?」 「それが……聖剣の乙女が見つかったと報告をしたら、王様が一度顔を見せに来いと仰せになったらしくて……」 「はぁ!?」  パニックになったアメリの声が、のどかな街道に響き渡った。
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