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アメリの気持ちを察したのか、サラが壁になってヴィルジールを遠ざけてくれた。
「ヴィルジールに何を言われたんですか?」
「いえ、大したことじゃありません」
これ以上は突っ込まれたくない。
話を逸らそうと、アメリは違う話題をサラに振った。
「この街道は魔物がまったくいないんですね。いつもならそろそろ襲われてそうなのに」
「今王都に引き返してますからね。城下町も近いですから、魔物が少ないのはそのせいです」
「え? どうして引き返してるんですか?」
勇者一行は遥か遠くの魔王城を目指していた。
魔物を倒しつつ地道に進んで来たはずなのに、逆戻りするなどまったく意味が分からない。
「王様がアメリに会いたいんだってさ」
ヴィルジールが再び割り込んでくる。
嫌な顔をするのも忘れ、アメリはぽかんと問い返した。
「は? 王様が? わたしに? は? ナゼ?」
「それが……聖剣の乙女が見つかったと報告をしたら、王様が一度顔を見せに来いと仰せになったらしくて……」
「はぁ!?」
パニックになったアメリの声が、のどかな街道に響き渡った。
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