第1話 聖剣の乙女

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「ああ、大丈夫大丈夫、痛いとかは絶対にないからさ。あるとすればちょっと恥ずかしいくらい?」 「恥ずかしい?」  目が合うとロランに視線を逸らされた。  頬が赤く見えるのはアメリの気のせいだろうか。 「慣れればなんてことないって。ほら、ロラン。最初だからやさしくしてやって。やさしく、やさし〜く」 「うるさい、ヴィルは黙ってろ」 「あの、一体何をするんですか?」 「接吻だ」 「せっ!?」  いきなり唇を塞がれる。  頭突きのような口づけはやさしさには程遠かった。 「あああ……!」  厚い胸板を押し返そうとしていた両手が熱い。  いきなり生じた灼熱に、アメリはロランに縋りついた。 「手を」  両手をロランに引き剥がされて、アメリの掌が眩く光り輝いた。 「やだ熱い!」 「そのまま耐えてくれ」 「いたぁいっ、やぁむりぃいっ」  せり出す熱源が手の中でどんどん膨れ上がっていく。  光を強く握り込んだかと思うと、ロランは一気にそれを引き抜いた。 「やぁああっ」  内側から何かを引っ張り出される感覚に身を震わせる。  アメリの掌から現れたのは、ひと振りの立派な剣だった。 「……これが俺の勇者の聖剣」  掲げる長剣を前に、ロランが放心したようにつぶやいた。 「痛くないって言ったくせにぃ」  涙目で睨みあげるとロランは困った顔になる。  その横でヴィルジールが、口笛を吹きながら顔を逸らした。
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