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「ああ、大丈夫大丈夫、痛いとかは絶対にないからさ。あるとすればちょっと恥ずかしいくらい?」
「恥ずかしい?」
目が合うとロランに視線を逸らされた。
頬が赤く見えるのはアメリの気のせいだろうか。
「慣れればなんてことないって。ほら、ロラン。最初だからやさしくしてやって。やさしく、やさし〜く」
「うるさい、ヴィルは黙ってろ」
「あの、一体何をするんですか?」
「接吻だ」
「せっ!?」
いきなり唇を塞がれる。
頭突きのような口づけはやさしさには程遠かった。
「あああ……!」
厚い胸板を押し返そうとしていた両手が熱い。
いきなり生じた灼熱に、アメリはロランに縋りついた。
「手を」
両手をロランに引き剥がされて、アメリの掌が眩く光り輝いた。
「やだ熱い!」
「そのまま耐えてくれ」
「いたぁいっ、やぁむりぃいっ」
せり出す熱源が手の中でどんどん膨れ上がっていく。
光を強く握り込んだかと思うと、ロランは一気にそれを引き抜いた。
「やぁああっ」
内側から何かを引っ張り出される感覚に身を震わせる。
アメリの掌から現れたのは、ひと振りの立派な剣だった。
「……これが俺の勇者の聖剣」
掲げる長剣を前に、ロランが放心したようにつぶやいた。
「痛くないって言ったくせにぃ」
涙目で睨みあげるとロランは困った顔になる。
その横でヴィルジールが、口笛を吹きながら顔を逸らした。
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