1.彼女について

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《もっ、こり……?》  よく考えなくても分かります。下半身のあの感触、あの違和感…。男ならすぐ気付くはず。いや、でも待ってください。びーちゃんは女の子で…、ボブヘアーで制服もスカート履いてて…、確かに私服はパンツスタイルでボーイッシュですけどそこも可愛くて…,  ちょっと頭がバグってます。思考がまとまりません。「おい、永詩?」どういうことですか?確かに、違和感を感じることはありましたが…「どうしたんだよ」言われてみれば、喉仏もよく見えるような…いや、でもそれは女子でも有り得ることで…「ちょ、おいコラ」 「…っじょ、女子でも、もっこりするんですか!!?」 「は?」  目をかっぴらいて志音に問い詰めると、「何言ってんのお前」と呆れた顔をされました。やはりそうか…なら、あの感触は一体何だったんでしょう。  その夜、びーちゃんに連絡をしたけど返ってきませんでした。僕はいつものオンラインゲームをしながら元の調子を取り戻そうとしていました。 【あの、BB男爵さん。ちょっと聞いてもいいですか?】 【はい!何でござるか?今回の勇者の魔剣クエストのことでござるか?】 【あ、いえ。ちょっとだけ現実的な話をしてもいいでしょうか…】 【構わんぞよ!】 【あ、知り合いの話なんですけど…】  オンラインゲームで知り合って親しくなったBB男爵さんに、今回のことを自分や彼女のことは伏せてそれとなくチャットで相談してみました。 【なに!?それは少々違和感でござるな…】 【そうなんです、あの、もしかしたら…こんなこと言うのもアレなんですが、彼女は男性なのでしょうか…?あ!いえ!もしかしたらの話です!】 【うーん、ふぉーえばーぽえむ殿はそう思うでござるか?】 【今までの違和感は気のせいって思えたんですが、あのもっこりはどうしても説明がつかない…らしくて】  ちなみに、ふぉーえばーぽえむは僕のアカウント名です。何ともダサい名前をつけてしまったと思いましたが、今では愛着があります。 【では、相手方に直接聞いてみるのはどうでござるか?】 【そうなんですけど…もし、違った場合すごく失礼なのではないかと…】 【でも、男でありそうな可能性は何パーセントだと思ってるでござるか?】 【99.8%ですかね】 【ほぼ確ではまいか!】  でも、もしそれが本当だとしたら。なんでびーちゃんは女子のフリをしているんですか?なんで嘘をついてまで僕に…。それに、もし本当に男子だったら、僕はこれからどうしたらいいのでしょう…。 【このままモヤモヤするより、ハッキリさせてスッキリした方がいいと思うでござるよ!ましてや恋人なんですぞ!?】 【そう…そうですよね。ありがとうございます!BB男爵さん…あ!えっと、そうやって知り合いに伝えてみます】 【いえいえ!お役に立てたのなら拙者も満足!では、早速今回のクエストのことでござるが…】  確かに本人に聞いてみるのが一番ですよね。この疑惑を持ったままモヤモヤするのはよくないです。  でも…それを聞いて事実だったら、僕はどうするのかとか。答えが出ない上に、本人に聞いてみる勇気が出ません…。
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