言の花の歌

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 あるところに、一匹の魔物がいました。  魔物はあまりみんなと、見た目が違うわけではありませんでした。  肌の色も同じ。  指は五本。腕も足も二本。  目がふたつに、鼻がひとつに、口がひとつ。  ただ魔物の顔には、大きな痣がありました。  くすんでにごったむらさき色の、とてもみにくい痣でした。  おまけにあちこちで叩かれたり石を投げられたりしたので、魔物の長い黒髪はぼろぼろにほつれて、着ているドレスもあちこち破けて、体中傷だらけで、血が滲んでいました。 「きたない」 「みにくい」 「きもちわるい」  みんな魔物を嫌がりました。  魔物はいつでもずっとひとりぼっちでした。
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