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今日もご飯がもらえない。
昨日も一昨日もその前も、あたたかいご飯は食べてない。
魔物はひとりとぼとぼ街を歩きます。
たちまち街中のドアが閉まり、家の中からひそひそなにか言う声がきこえました。
魔物はひとりとぼとぼ街を歩きます。
ああ、いやだ。
人間なんて、だいきらい。
魔物はひとりずるずる街を歩きます。
重たい足をひきずるように、一歩一歩。
後ろで、誰かがなにか言いました。
言葉が心のやわらかいところに突き刺さって、そのまま血を流します。
どくどく。どくどくと。
気がつくと、魔物はいつのまにか、花畑に立っていました。
あたり一面、ぐっと胸を張って咲き誇る、色とりどりの花。
それから、やわらかくみずみずしい草の青。
風が吹きました。
涼しくて、優しくて、綺麗で、胸がすっとするような、きもちのいい澄んだ風でした。
ここは どこだろう。
あれは なんの花だろう。
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