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「それで、その”選別”ってのは何をすりゃいいんだ?」
『やれやれ、やっと本題に入ったか。』
レイジがスピーカー越しにゼアルに尋ねると、溜め息混じりにゼアルが言う。その声だけでもはっきりとゼアルが疲れているのが分かった。
『簡単に言おう。殺し合いだ。』
「な―――?」
ゼアルの言葉にダイブは絶句する。
『おまえ達のどちらが素材として優秀か、実力を見究めるためにこれから殺し合いを行ってもらう。安心しろ、殺し合いをしてもらうとは言ったが、貴様らは分類学上貴重なサンプルだ。殺してしまっては勿体ない。闘って負けた方はコールドスリープの状態で来たるべきまで保管しておいてやる。』
「コールドスリープ?!ひゃーーー未来遺産になっちまうぜ、俺!」
「バカか、それ永久的にここから出られないってことだからな。」
「おぉ、それもそうだな!」
ぽんと手を打って納得するダイブにレイジが黙って肩を落とす。
「優先すべきはここからの脱出、そしてリョウとおまえの友達の救出だ。
……なぁ、レイジ。」
話しながら、ふと、素晴らしいことを思い付いた。
「……ここって魔法使いを造るための人体改造をやってるんだよな?ここを脱出してゼアルのいる所に着いたらよ、あいつ、ギャルに魔改造しようぜ!」
「はぁ?!」
レイジではなく見張りのインスペクター2人が目を剥いて声を上げる。
「俺達がいいようにされるんならよ、あいつだって俺達の好きなようにしてやろうぜ!あいつにあれこれ言われるより、まだ金髪ギャルのお姉ちゃんに「貴様らは我々のモルモットだ。」とか言われてぇじゃん?」
「……くっだらねぇ、なんでギャルなんだよ。」
鼻先に皺を寄せてレイジが言う。
「ここの化学技術を結集させればそれも可能だろ?おまえもそう思わん?」
「……違げぇ、俺が言いたいのはなんでギャルかってことだ。」
話の風向きが変わってきた。
身を乗り出すダイブにレイジは真顔で言う。
「俺が好きなのは―――。」
スピーカー越しにリョウに聞こえないよう気を遣ったのか、レイジが小声で言ったのは―――文章に起こしがたい類のレベルの嗜好であった。
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