病の発覚

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病の発覚

「志乃ちゃんお帰り。今日もお稽古かい? 精が出るねぇ」  家へと向かう路地を曲がった所で、近くに住むおばあさんに声をかけられた。  おばあさんの背中では、いつものように男の子がすやすやと気持ちよさそうに寝息をたてている。  志乃は、おばあさんの仰ぐうちわを見ながら、にっこりとほほ笑み返した。 「はい。今日もたっぷりと絞られてきました」  ちょっとおどけた志乃に、おばあさんは大きな口を開けて笑う。 「花嫁修業も大変なこって」  おばあさんの声に、志乃はくすくすとつられるように声を漏らす。 「でも志乃ちゃんは、本当にべっぴんさんだから、すぐにお嫁にいっちまうだろうよ」 「貰い手があればの話ですけど」  志乃が肩をすくめると、おばあさんは再び大きく笑った。  おばあさんと別れた志乃は、家までの小道を急ぐ。  いつもより遅くなってしまったから、二人の妹は待ちきれずに外に出てきているかも知れない。  小走りで家の前まで来た志乃は、首を傾げるとぴたりと足を止めた。
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