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【佳織が見た星空】
私は晴彦の運転する車の助手席に座り、窓の外を眺めていた。
対向車もなくなり、車は街灯のない真っ暗な道へと入った。
だんだん恐くなってくる。
「晴彦、どこに連れて行くの?」
「ん? 佳織に数千年前のものを見せたくて……」
「こんな夜遅くに博物館なんてやっているわけないでしょ?」
「博物館にあるものよりも、もっと昔のものを佳織に見せてあげる」
晴彦はいったい何を考えているのだろう。
私と晴彦は、同じ音楽大学に通う大学生。
私はピアノ科で、晴彦は声楽科。
彼の歌の伴奏を担当したことがきっかけで、私たちは付き合い始めた。
晴彦が夏の夜のドライブに行きたい、と言うのでついてきたが、
いったいどこに行くのやら……
車は意外なところで止まった。
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