幸せ太り

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 次の日、早朝のジョギングから帰ると、朝食は野菜中心のメニューだった。 「今日の夜は楽しみにしてて。買い物に行って、美味しくて満足できるダイエットメニューにするから。朝は野菜ばかりでごめんね」  量は半分になっていたが、米も食べられたから満足している。ダイエットは炭水化物を食べてはいけないと思っていた。    夕飯は米をオートミールに変更された。出汁の味がいいから美味しく食べられた。味付けしてなかったら多分無理。トマトのスープ、豆腐と鶏のつくねに大量のサラダ。ドレッシングもオリーブオイルと塩を混ぜて作ってくれた。 「本当にこんなに食って良かったの?」 「すぐに15キロなんて減らせないよ。そんなことしたら身体壊しちゃう。1年かけて減らそ。一緒に頑張ろうね」  一緒に、と言ってくれることが嬉しい。一緒なら頑張れそうだ。  最初の頃はスルスルと体重が落ち、ある頃それがピタリと止まる。俺は焦るが、ハルが、大丈夫、と言うから信じて食事制限と運動を続けた。また体重が減るのを繰り返す。  1年後の健康診断では15キロ減らせ、2年前の体重に戻っていた。  昔着ていたスーツが着られるようになり、街を歩けば数歩進むごとに男女関係なくナンパされた。  見た目が変わるだけで、こんなにも人からの扱いが変わる。変わらなかったのはハルだけだった。  でも最近、ハルが不満を漏らすようになった。 「僕だけのヒロくんだよね? あんまりモテて欲しくない」  眉間に皺を刻み、頬はぷっくり膨れている。顔の中心にパーツを集めて、面白可愛い顔をした。『僕だけの』と言われて、きちんと好きな事が伝わっていて安心する。 「ハルだけの俺だよ」
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