初めての選択

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 3人は家に入ると、あたたかいミルクを飲みながら家族会議だ。 「相変わらず甘い男やで。相手は子供と言えども人間や。明日には近所中に噂が広まってるわ」  こだまは知っている。  人間は決して秘密を守らない生き物だと。  人間界研修中に何度も見て、何度も聞かされ思い知った。 ──なぁ、知ってる?ココだけの話やけどな、角の西村さんの奥さん……不倫してるねんて。 ──内緒やで?あそこの店、もうすぐ閉店するらしいで。借金ごっつあるねんて。  事実であろうがなかろうが、噂してはそれらしく心配顔をしている。 「人間界では、嘘がホンマになるねん。私はいおりを守る!だから陽奈ちゃんには悪いけど、一発カマして記憶喪失を狙うねん!」 「こだま、僕たちは人間と喧嘩しに来たんちゃうやろ?仲良くなって、人間社会の仕組みを学ぶんやろ?」 「拳と拳で仲良くなればいいねん。言葉はいらん、真っ向勝負や」  いおりは、両親の言い争いよりも陽奈が言った『友達になってくれる?』が、不思議で仕方なかった。  人間は友達になるのに、いちいち了解を取らなければいけないのか。どこか必死な感じがした陽奈の顔。 「これがムッジーのゆってた、手続きしなアカン時ってやつ?友達になるのも手続きなんかな……」
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