ホクロはおふくろの味?

3/12
前へ
/43ページ
次へ
 いおりが毎日遊んでいた武庫川では、人間界の色々な物が流れて来る。珍しい物は持ち帰り、長老にそれが何かを聞いたりした。  空き缶、ペットボトル、スーパーの袋、お菓子の箱、衣服や家電が沈んでいた事もある。  いおりが好きだったのは、お菓子のカラフルな袋だった。 「そうや。荷物持ちのお手伝いしたら、お菓子をひとつ買ってあげるな」 「ほんまに!母さん、ありがとう!」  早く早くとこだまを急かして、二人は車でスーパーまで行く事にした。 「急かしたらアカンで?まずは深呼吸や。右良し、左良し、バック良し……さぁ、行くでぇー!」  こだまの運転は、超安全運転だ。しかも、ものすごい緊張感がいおりにも伝わる。  ゆっくり運転していると、後の車に煽られた。それでもこだまは動じない。 「抜かしたいなら、抜かしたらええ。イラチ(せっかち)な男はモテへんで~」  いおりを乗せた車は堂々たる安全運転で、スーパーの駐車場に停車した。  いおりは全身の強張りから解放され、汗を拭う。 「いおりはカートを押してな?この中に食べ物を入れていくからな」  こだまに言われた通りにカートなるものを押すいおりに、買い物に来ていたばあちゃん達が目を細める。 「お母ちゃんのお手伝い偉いなぁ。ほれ、飴ちゃんあげよ」  
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加