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いおりが毎日遊んでいた武庫川では、人間界の色々な物が流れて来る。珍しい物は持ち帰り、長老にそれが何かを聞いたりした。
空き缶、ペットボトル、スーパーの袋、お菓子の箱、衣服や家電が沈んでいた事もある。
いおりが好きだったのは、お菓子のカラフルな袋だった。
「そうや。荷物持ちのお手伝いしたら、お菓子をひとつ買ってあげるな」
「ほんまに!母さん、ありがとう!」
早く早くとこだまを急かして、二人は車でスーパーまで行く事にした。
「急かしたらアカンで?まずは深呼吸や。右良し、左良し、バック良し……さぁ、行くでぇー!」
こだまの運転は、超安全運転だ。しかも、ものすごい緊張感がいおりにも伝わる。
ゆっくり運転していると、後の車に煽られた。それでもこだまは動じない。
「抜かしたいなら、抜かしたらええ。イラチな男はモテへんで~」
いおりを乗せた車は堂々たる安全運転で、スーパーの駐車場に停車した。
いおりは全身の強張りから解放され、汗を拭う。
「いおりはカートを押してな?この中に食べ物を入れていくからな」
こだまに言われた通りにカートなるものを押すいおりに、買い物に来ていたばあちゃん達が目を細める。
「お母ちゃんのお手伝い偉いなぁ。ほれ、飴ちゃんあげよ」
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