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「えっ!貰っていいのおばあちゃん。飴ちゃん?飴ちゃんって食べるもの?」
ばあちゃんは一瞬哀れみの表情を浮かべたが、袋からガバッと飴を掴むといおりに押し付けてきた。
「ぎょうさん食べよ?たまにはええやろ?まったく、最近のお母ちゃんはやれアレルゲーやら、虫歯やらと厳しいことや!」
たまらずこだまが言い返す。
「おばあちゃん、ありがとう。うちはアレルギーも、虫歯も気にしてないから」
「へ?気にしなあかんで!アレルゲーと虫歯は。ちゃんと歯みがきしなアカン。最近のお母ちゃんはなってないな」
どっちやねん。
ばあちゃんは、ブツブツ言いながらゆっくりと立ち去った。
「手強いわ……ああ言えばこう言う。ここは魔窟かもしれん。気合入れて行くで、いおり!」
野菜売り場は人が少ない。最近の値段高騰の影響で、お客さんはため息をつく主婦が2〜3人漂っているだけだ。
あからさまに文句を言っている人もいた。
「母さん……」
「どうした?」
いおりは、その文句を言っているじいちゃんに釘付けのようだ。
「あのおじいちゃんの顔に、黒丸があるねん。なんであんな事してるん?意味があるの?」
じいちゃんの眉間には、でっかいホクロが鎮座し、ツヤツヤと光っていた。
「あぁ、あれはホクロって言うねん。自然にできるもんらしいで?まぁ……河童の皿みたいなもんや」
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