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「でも、あっちの人はないで?なんでなん?あのおじいちゃんは偉い人?」
河童には、ホクロもなければイボもない。ぬめりけのある緑か赤の皮膚は、少しの濃淡があるだけだ。
「不思議でな、人間はいろんなとこにホクロができる。あの人は顔、あっちの人は腕。大きさもまちまちやな」
「いいなぁ……母さん、オレもホクロがほしい。今日はお菓子我慢するから、ホクロ!オレにでっかいホクロをちょうだい?」
いおりは目をキラキラさせながら、ホクロを連呼している。
さぁ、こだまの母としての選択スタート!
① ホクロってほんとのところ何なのか知らないこだまだから、家に帰ってAIのジェミパさんに聞いてみる。
② 可愛い息子の願いを叶える為、黒豆を探して貼り付けてみる。ここはスーパーだし。
③ じいちゃんのホクロを引っ剥がし、いおりにプレゼントする。じいちゃんには黒豆を代わりに付けておく。
「フッ、母河童の愛は深いんやで?②でどうや、いおり!」
てっきり傍にいると思っていたいおりがいない。キュウリが入ったカートが置き去りにされているだけだ。
焦るこだまだったが、魚売り場からいおりらしき笑い声をキャッチした。
「いおりーー今いくっ!どやさ~」
魚売り場の隅で、さっきの文句じいちゃんといおりが楽しそうに笑っているのが見えた。
「いおり!」
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