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ーー夏の空が嫌いだった。
私には色彩感覚がない。
夏に見えるはずの緑が、赤に見えていた。
私は夏の赤に嫌悪していた。
世界で一番大切な人がいなくなったのを、思い出してしまうから。
あれは蒸し暑い日だった。
汗がジドリと伝う。
いや、汗以外にも何かあった気がする。
あぁ、そうだ。
『彼』のことを思い出してしまうから。
『彼』のことを……。
私は『それ』に酷く苦しんできた。
『彼』は私を許してはくれなかった。
酷く歪んでいく視界。
幻聴に私は悩まされていた。
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